2022年3月2日水曜日

2021年個人的Game of the Year

毎年恒例、年が明けた後に書き終わるGOTY記事です。

その年に発売されたゲームだけではなく、その年に遊んだゲームから選出されます。

今年もゲームを50本以上クリアしている中で、珠玉のタイトルをピックアップ。

毎年文章量がエグいので今年はスリム化を目指して短く書き記します。


・ベストシューティング部門:Doom Eternal


前作であるDoom 2016は小難しい事は抜きにして、リロードを廃止してハイテンポなトリガーハッピーな手触りでありつつ、
敵を近接キルする事で回復や弾薬を落とす、つまりザコ敵が弾薬庫となるので片っ端からザコ敵を倒すのではなく、雑魚敵を倒すタイミングも重要になる少し知的な要素もある。
また、敵も厄介な種類を先に倒すなどの処理順も求められるので、戦闘中のタスクが非常に多い。
しかし、瞬時に倒すべき敵を判断し倒しつつ、その雑魚敵を近接キルしアイテムを引き出すのを無意識に行えるようになると、アドレナリンが大量に分泌される。
とても気持ちの良いゲームプレイとなっていたDoom 2016。
唯一の弱点はダッシュがなかった事だろうか。

などとGOTY記事で書いていたのだが、なんとDoom Eternalでは待望のダッシュ・エアダッシュが追加された。
しかも連続で使用が可能となり、非常にハイスピードな戦闘が行えるようになった。
ダブルダッシュを使いつつ、ダブルバレルショットガンに装着されているグラップリングフックを組み合わせると縦横無尽にフィールドを駆け巡る超ハイスピード三次元FPSへと進化する。
まさにオールドスクールが”今”を超えて次のステージに進んだ瞬間だろう。

おまけに中盤からは正面からの攻撃を全てガードし、近接では鬼のように強く、遠距離でも鬼のように強い強敵マローダーが追加された。
敵の攻撃をダッシュで回避して、背中や側面から攻撃をぶちこんでいくボス戦は非常に楽しい。
一部のにわかゲーマーはこれをディスり弱体化しろと声を上げたのだがが、ダブルダッシュやグラップリングフック、アイテム貯蔵庫となった雑魚敵…
持てる知識と腕を全てぶつけて戦うマローダー戦は死闘そのものであり、FPSでここまで白熱した戦闘は体感した事がない。
マローダー弱体化要求の声に屈しずそのままを貫き通してくれたID softwareに拍手を贈りたい。
DLCはまだ未プレイだが、このマローダーが2体同時に登場するらしくプレイするのが楽しみである。
”戦闘”という面にフォーカスしたFPSではぶっちぎりに面白いFPSだっただろう。


・ベストVR部門:After the Fall


こういう言い方は良くないのだろうが、一言で表すのであればVR向けに最適化されたLeft 4 Dead 2なのだろう。
4人協力キャンペーンに固定マップとランダムエネミースポーン、ランダムに配置されたアイテム、そして特殊感染者…
基本的な部分は抑えつつ、VRならではのリアルスティックリロードも完備したシューター。
両手首のインベントリがあり、2つまでアイテムを持ち運べる。
味方がダウンした時の蘇生は回復アイテムがないと出来ないので、回復かパイプボムを持つかの判断が難しくも楽しい。
繰り返し遊べる要素として、武器のアタッチメントのアンロックがある(Payday 2のアレを思い浮かべて貰えばわかりやすい)
これに関しては賛否両論あるが。

単純に銃を撃っている感触がよくそれだけで遊べる。
VRならではのシミュレーションな側面と、パンケーキゲームのゲームらしい要素がきちんとミックス出来ている良作。
オンラインの4人co-opとアンロックで長く遊べるのも嬉しい。
アップデートでのコンテンツ追加も予定されているので暫く楽しめそうだ。
このタイトルがVRゲームにおける基準となるスタンダードになってほしいと思う出来のタイトルだった。
ちなみに50時間遊べました。



・ベスト思考ゲーム部門:風来のシレン5+ フォーチュンタワーと運命のダイス


DSとVITA版を経てのSteam・Switchへの移植版。
本作の目玉はBiimシステムのような画面構成に出来るオプションが追加され、
主窓にはプレイ画面、副窓でアイテムやステータスを表示する事ができ、
配信向けの機能のようだが、一人で遊ぶ場合でも非常に便利。
過去作に比べてUIやUXなど細かい部分に配慮が行き届いており、
ゲームプレイ以外でのストレスは一切感じる事がないだろう。

ゲームシステムとバランスも相変わらず秀逸で、ハードや価格などの手にとりやすさが嬉しく、
新規・復帰勢に最もおすすめしやすい一本となっている。
ゲーム自体は2020年に発売しており、その年にクリアしているのだが、
50時間、40回もの挑戦の果てに「もっと不思議な」50Fと99Fをクリアする事が出来たので、
今回クリアしたゲームという事でカウントしている。
少しでも興味ある人には超おすすめ。

・ベストオープンワールド部門:Mafiaリマスター


前提として自分はオープンワールドとクライムアクションが苦手である。
オープンワールドで自由と謳いつつ、蓋を開けてみれば中身がスカスカの虚無に面倒くさい車での移動…
red dead redemptionはランダムイベントなどを充実させて、馬で駆け巡るのが良く出来ており、唯一楽しいオープンワールドだと感じた。

ストーリーが良いから遊んでくれとおすすめされたのでプレイしてみたのだが、
オープンワールドとしてはやはりリマスターらしく何とも言えない出来。
しかし、今回のリマスターで追加された車での移動をスキップするという機能が非常に素晴らしい。
メインミッションでの車での移動はほぼ全てワンボタンでスキップ出来る仕様で、
これにより、従来のオープンワールド作品でありがちな移動時間でプレイ時間を水増しするという薄っぺらい仕様がなくなった。

メインミッションの話の進み具合も早く、この移動スキップも併せてテンポの良い濃厚なストーリー体験を味わう事が出来る。
しがないタクシードライバーのあんちゃんが、マフィアとなって徐々に組織を上り詰めていき、その結末を短い時間で映画のように味わう事が出来る。
そういう意味ではこの作品はプレイする映画、と形容する事が出来るかもしれない。
とにかくオープンワールド系ゲームでのつまらない部分をスキップして快適に遊ぶ事が出来る。
その上で濃厚なストーリーを味わう事が出来る濃密な映画として非常に優れた体験が出来る一本だった。


・ベストアドベンチャー部門:Unreal Life


2021年(Switch版は2020年)発売の中でもゲキヤバストーリーの作品の一つ。
本作はしゃべる信号機やしゃべるねずみなど、浮世離れした世界を舞台にした物語で、
かつての記憶を失った少女が自身を取り戻す為に、夢現な世界を冒険するADVゲーム。
戦闘やパズル、アクションなどは存在せず、自分のペースでゆったりとお話を読み進めていけるのが特徴。
少しショッキングな場面もあるが、アクセントとして機能している。

EDまではあっと驚くシーンも多く、全てが明かされる終盤とEDはとても楽しい。
そして、ED後…このゲームを直接遊んだ人にだけ判明するSpoilerが全てをひっくり返す衝撃的などんでん返しが待っているのだが、
このSpoilerはSwitch版配信から約1年間もの間誰にも気づかれず、
Steam版が発売された際に謎の実績が存在した事から解析班達が頑張って探し当て出現させた物だ。
Switch版はアップデートなども来ておらず、発売最初期の時点で仕込まれていた事から全プレイヤーを戦慄させた。

本編だけでも完成度の高い作品なのだが、このSpoilerによってとんでもない事になってしまった一作。
セール時には1000円を切っているので、Spoiler抜きにしても楽しめるので是非この夢現な世界で癒やされてほしい。


・ベストRPG部門:ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団


ディスガイアシリーズで有名な日本一ソフトウェアが作ったダンジョン探索RPG。
魔女のドロニアと弟子のルカちゃんが、とある目的の為に、
辺境の街の井戸から異世界に繋がるダンジョンの調査をするというストーリーで、
この魔女のドロニアと弟子のルカは主人公ではあるのだが、一切操作する事はない。
井戸から繋がる異世界は瘴気が満ちており、人が入れば一瞬にして死を迎える事になる。
なので魔力を込めた人形を自分達の代わりにダンジョンに送り込む。
それがプレイヤーの操作するキャラクター達だ。

この手のダンジョンRPGはロールプレイをする為にキャラが喋る事はないので、
お話を語るストーリーとは相性が悪い。
だが、本作はストーリーを語るキャラクターと、ゲームを進めるキャラクターを分けることによって水と油とも言える要素が綺麗に混ざり合っている。

魔女のドロニア達のストーリーは街で進み、
プレイヤーの進めるダンジョンのストーリーは全く別に切り離されているので、
良い意味でストーリーとゲーム、それぞれ集中して楽しめる作りになっているのも良い。
そういう意味ではあえて水と油の要素は残している。

プレイヤーの操作する魔力人形は3人で1小隊を組めて、最大5小隊まで編成する事が出来る。
つまりプレイヤーは一度の戦闘で15人のキャラを操作する事になる。
それだけだと面倒なのだが、基本は小隊ごとにコマンドを選ぶので実質5人操作になる。
リソースを使うと小隊のメンバー毎にコマンドを選ぶ事ができるのも特徴で、
幅の広い戦略的な戦闘が出来るのが面白いポイントだろう。

さて、ここからストーリー部分にフォーカスするのだが、
な~~~んも言えん
キャラの名前一つ調べるだけで変な情報が出たり、あっと驚くネタバレが出てくる。
遊んでいる最中に「???」となったり、違和感は確実にあるので調べたくなるがぐっとこらえたい。
一つ言えるのは作中できちんと回収するので、辛抱強く待ってほしい。
ゲームのプロットが非常に完成度が高いのでストーリー勢にもおすすめしたい。
この手のジャンルの中ではゲーム自体難易度が低いので、ボス戦もそこまで苦戦するなく、
ストーリーが目当ての人にも是非是非遊んでほしい。

本作にも裏ダンジョンと裏ボスも存在するのだが、そこに突入する際の流れが非常に秀逸で、
それすらも一つに組み込まれているのは流石とも言えるストーリープロットだ。
裏ボスも例にもれずに難易度が低いので是非挑戦して大団円を掴み取ってほしい。


・ベストシリアス脚本部門:ロストジャッジメント


龍が如くシリーズから派生した、俗に言うキムタクが如くの続編。
ジャッジアイズ2ではなくロストジャッジメントというタイトルにとても意味がある。
元弁護士のキムタクが、今作ではいじめ問題について首を突っ込むお話。
なのだが、結局の所いじめ問題という答えのない問題に触れるのは地獄の釜の蓋を開けるかのような問題。
それに対してきちんと最後まで表現しきったストーリーは異常とも言える。(答えを出したとは言っていません)

今作の恐ろしい点が、PSの録画機能を制限しなかった事だろう。
前作のジャッジアイズもだし、龍が如くシリーズもストーリーが重要で、
ネタバレを避ける為に配信・録画は中盤までとなっている事が多い。


なのだが、今作ロストジャッジメントはオープニングからエンディングまで無制限!
じゃあ今作はストーリーが大したことがないのか?というならば答えはノーだ。
何故ならば今作はネタバレをしても全く無意味なストーリーとなっている。
これがどういう事かというと、本作はどんでん返しは多数存在するし、ストーリーが二転三転する面白い作りになっている。
だが、それ以上にいじめ問題に関する脚本が秀逸で、
展開の面白さよりも、キムタクや他のキャラから語られる想いや哲学など、
脚本の面白さと出来に力を入れているので、毎シーンごとにプレイヤーを唸らせてくる。
展開そのものの面白さの従来作に対して、展開に対してキャラクターが語る言葉が面白い。
だから今作は配信・録画機能に制限をかけなかったのだろう。

そして肝心のゲームプレイも、ジャッジアイズから大幅進化しており、
ジャッジアイズは龍が如くに毛が生えたマイナーチェンジだったのだが、
今作で大幅に進化して龍が如くともジャッジアイズとも違う、過去作とは全く別の独立した一本とも呼べる作品として確立された。
メインとなる戦闘システムの完成度も非常に高く、全てが上手く作用している。
龍シリーズは戦闘が歪な部分が多かったのだが、本作ではそれを殆ど解決している。
(一部超反応のボスや超ガードのボスも未だに存在するが、キムタクの強さとシステムの強さでそれを無理やり突破出来るように作っている)
クリアした瞬間には「あ~~~~ロストジャッジメントって…あ~~~~」となる事必須。
この出来がスタンダードになれば、いずれは龍スタジオのゲームがGOTYを取る事も夢ではない。

異常とも言える内容の脚本に、完成度の高いバトルシステム、そして大ボリュームのゲームプレイ。
満漢全席のようなゲームの本作は、間違いなく遊ぶ価値がある。


・ベストシリーズ部門:龍が如く7 光と闇の行方


アクションゲームからRPGへと変貌した龍が如く。
しかし、戦闘方法が変化しただけで、本質は龍が如くのまま。
上質な脚本から生まれるストーリー、生きた街を描くアクティビティの各種は健在。
上述したロストジャッジメントは負の作品に対して、本作7は正の作品だろう。

ドラクエが好きすぎて周りの景色が全てゲーム映像にしか見えない一般成人異常者が主人公。
ありとあらゆる人間がモンスターに見える、主人公は無職なのでハロワで転職、
明日の集合場所はハロワだぞ!などの展開で明るく楽しい冒険が繰り広げられる。

RPGとしては最初の一本だからか、不慣れな箇所などもありお世辞にも絶賛は出来ないのだが、
ゲームとして光る箇所は多く、ブラッシュアップされた次回作が遊びたくなってしまう。

ストーリーも全てを失って無職になった主人公が、ハロワで徐々に成り上がっていき、
因縁で結ばれた自分と対を成す者との戦いへと向かっていく。
主人公は龍に選ばれた光の化身そのものであり、対を成す者は全てに絶望し心を捨てた闇の化身そのものだ。
最後の戦いを迎える頃には、「あぁ、光と闇の行方ってそういう…」と納得する。
ロストジャッジメントはドシリアスだったが、本作も根幹はとてもシリアスで、
作中に流れる空気感や最序盤の流れでそのシリアスさが良い方向に中和出来ているのも嬉しいか。

ロストジャッジメントは全体的な展開と脚本の出来が95点をキープし続けて走り切る作品だったのに対して、
本作の7は全体的には90点をキープし続けるのだが、要所々々で爆発し、120点を叩き出す箇所が多く存在する。
方向性自体が違うのもそうだが、一概にどちらかが優れているとも言えないし、どちらも素晴らしいといえる作品。
ラストバトルとその後のエンディングは秀逸で、
ロストジャッジメントのエンディングは漂う無常観から「ただ噛みしめる」といった感じだが、
龍が如く7のエンディングは熱さと悲しさから「ただ、泣く」と言った
運命の悪戯から生まれた光と闇の戦いの行方を是非見届けてほしい。

ゲームジャンルこそは様変わりしたが、
プロットや作品としての本質は過去シリーズのままなので、
安心して龍が如くとして遊べる事が出来る。
シリーズの持っている大事な魂はそのまま龍が如くなのは凄まじいの一言。


・ベストドラッグ部門:2236 A.D.


我々の住む時代から未来の世界、意識をインターネットに乗せるような技術、
水路と呼ばれる技術が生まれた世界が舞台のアドベンチャーゲーム。

水路を介して思考を他人に共有し、人々は擬似的なテレパシーを使ってやりとりが行う事が出来る。
高校生である主人公のヨツバはスマートフォンに入っているAIのマス子と漫才しながら日々を過ごしている。
そんな中、水路を介してテレパシーで会話する事が出来ない未来世界の自閉症のような物になっている、
クラスメイトのハル・シオンの女の子を気にかけるヨツバ。
図書館で一緒に勉強をしたり、一緒に帰ったりしていくうちにハル・シオンと仲良くなる。

しばらくしたある日、誰も居ない廃墟に引き寄せられるように進むヨツバ。
封印されていた壁を破壊して進むと、そこにはハル・シオンと全く同じ見た目の女の子が居た。
その子は目が見えず、触れている間だけ相手の視界を共有出来るという特殊な女の子だった。
見た目でも性格は正反対のハル・シオンともうひとりの女の子…
ヨツバは全く同じ見た目でも性格の違う二人の女の子に惹かれていくが…?

といった内容なのだが、作者は博士号を取っている超絶頭が良くて、新世紀エヴァンゲリオンを何十回も通しで見ている狂人だ。
その影響は本作にも色濃く出ており、「あ、エヴァだこれ!」となる瞬間は多い。
ただ擦るだけでなく、きちんと昇華出来ているので拒否感は出ない。
そして、そのエヴァらしさと作者の頭の良さと、キチガイみたいなプロットから生まれるトリップ感。
そして終盤の虚無感が非常に情報量の洪水となってプレイヤーの頭を混乱させていく。

物語においてお約束となっている普遍的な事実に対して報われる最初のED。
その事実に対して、懐疑的になり始める終盤。
そして、その普遍的な事実を否定する瞬間の負のカタルシスはとてつもなく、
アタリマエをアタリマエとして認識できなくなった瞬間、
プレイヤーは今後、普遍的なアタリマエの瞬間を見る度に本作を思い出すだろう。
色々な意味でプレイヤーとアタリマエの展開に傷を残していく本作は間違いなく怪作だろう。


・Game of the Year:Library Of Ruina


今後数年はこれを超える作品は出ないと断言できる一本。
誇張抜きにあと5年はこれ超えるタイトルは出ないんじゃないかと思う出来。

TRPGライクな世界観とTRPGのダイスロールバトルに触発された戦闘と、カードゲームを組み合わせた一本。
ゲームプレイ・ストーリー・キャラクター・声優の演技・プレイヤーの感情…
また100枚以上の書き下ろされたスチル絵も存在し、情景を盛り上げる。
全てが高次元に位置しており、全てが綿密に絡みあい芸術作品とも言える一本にまで昇華されている。


まずはゲームプレイ。
1人につき9枚の技カードをセットし、最大5人編成でバトルに挑む。
申し訳程度のランダム要素と水で薄めたカルピスのように何度も無理やり遊ばせるローグライクではない。
本作はカードゲームでありながら、ストーリー主導のゲームで、長い旅に挑む。
毎バトルごとに新しい要素やカードギミック、演出が登場するが、それをほぼ使い捨てる贅沢なゲームプレイが特徴だ。


人間との戦いは単純なバトルだが、
アブノーマリティと呼ばれる化け物との戦いでは特定の手順で撃破するギミックバトルになっておりメリハリがついている。
カード次第ではギミックブレイクして撃破する事も出来るのが嬉しい。


次にストーリー。
元々アーリーアクセスで販売しており、1年間かけて毎週ストーリーを更新していた連載漫画のような形を取っていた。
毎週ストーリーが更新されて、主人公であるアンジェラとローランの内面も洗いざらい理解し尽くした上で進む終盤の熱量はとてつもなく圧倒される。
ゲームらしい口調やセリフのキャラ立てではなく、漫画らしい掘り下げを行って”人間”としての描写を行う。
アンジェラに関してはキャラクターでなく、一人の人間として確立されているようにすら思える脚本の良さが凄まじい。
もうひとりの主人公であるローランとの対比も心をえぐる物がある。
この二人の関係性から生まれるストーリーは何も事前情報を入れずに遊んでほしい。


次はキャラクター。
上記のアンジェラとローランとは別に、毎回のバトルで登場するキャラクターも面白い。
全身機械化したキャラや、人肉を使うシェフ、どこからか飛んでくる意味不明の指令に従う組織…
TPRGライクな世界観から生み出される多様性の集団のようなキャラクター達が登場するのだが、
その全てがプレイヤーとアンジェラに殺されて本にされてしまう。
作品が作品なら、主人公を張れるようなキャラも多いのに、その全てが使い捨てという贅沢。
しかも全てのキャラクターがフルボイスでの演技となっているのも凄い。



次に音楽。
アンジェラとローランを主軸に進むストーリーなのだが、
その二人には特に力を入れられており、二人に関するBGMは彼らの絶望と心の叫びを表した楽曲が用意されている。
それはファンからの人気も高く、公式側でも心の慟哭を表現出来ていると評されている。
それとは別に人気バンドのMiliが7曲提供しており、それが敵側のバトルテーマとして採用されている。
歌詞や曲調が敵の全てを表しており、それを殺して本にするプレイヤーの情緒を破壊してねじれさせる。
その楽曲が軒並み高品質なのもまた憎い。
サントラだけですら3000円分ほどの価値があるのに、
このゲームの価格はゲームとストーリーまでついて3000円なのが恐ろしい。


そして最後にプレイヤーの感情。
音楽の項目でも語ったが、楽曲を通してキャラクターの心の慟哭を表現しているのだが、
それ以外にも敵のパッシブ能力や技カードのイラストと名前、効果でプレイヤーの感情を揺さぶってくる。
作中で愛する物を全てを失い、無敵の人となってしまったキャラがプレイヤー達に挑むのだが、
そのキャラは事前に「後悔だけはするなよ」と釘を刺されていたのだが、
そのキャラクターは死の直前、最後に一つだけ後悔をしていた。
プレイヤー側が使う「後悔」という名前の汎用必殺技カードの効果が特攻とも言える物となっており、
これを計算しているならば開発は天才だろうし、偶然にしては出来すぎている。
このような物がいくつか存在しており、ただのカードゲームでない事を知らしめる。

一部のボスバトルではパッシブ能力名やキャラの名前が全てを表現しており、プレイヤーの感情もぐちゃぐちゃになる事もある。


ゲーム内の要素が全て綺麗に絡み合い、高次元な芸術作品となっている。
これを超える作品は向こう数年は生まれないだろう。
ゲーマーであるならば、これだけは絶対に遊ばないといけない作品となっている。
絶対に損はさせないので是非遊んでほしい。
一生心に残り続ける一本になる事を約束します。


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