2025年12月26日金曜日

2024年個人的GOTY

毎年恒例個人的GOTY、諸事情が重なった結果延期し続け、1年後の今執筆している。
2024年は80本ゲームをクリアするという人生でもっともゲームを崩したのではないかという年となった。
そのうち約1/10程が当たりのゲームだったので総合的に見て豊作の年だった。
RDR2やFF16、サイレントヒル2リメイクなどAAAクラスの物や、
小粒なインディーゲーなども幅広く本数を遊んだ年ではあった。
しかし、個人的には良作止まりの物も多く、神がかった…神域には到達しなかったものも多い。
GOTYに選出した物も全てが神域に到達したものではなかったが、特に印象が強く残ったものを選びたいと思う。

あと例年通りスリム化を行い文章量を極力減らす方向で進みます。


ベストシナリオ部門:SANABI
    

韓国のデベロッパーが開発したワイヤーフックアクション。
朝廷が支配している世界を舞台にしたサイバーパンク物で、
主人公がサンナビという存在に対して復讐するのがテーマのゲーム。


ゲーム自体はかなりシンプルな作りで、ワイヤーフックでパルクールしつつ戦闘をしステージを攻略。
探索要素などはなく只管に進んで敵を倒して進むだけである。
パルクール8割、戦闘2割の配分も含めてあっさりしたゲームプレイに思える。


のだが、本作の優秀な所は誰が見ても細かいドット絵の表現・演出とストーリー部分だろう。

とにかくドット絵の解像度が絶妙で、具体的な表情は見えるのにドット絵特有の脳内補完も働く解像度が優秀だと思う。
一瞬しか使われないスプライトなどもあり、気合が入っている。
個人的にこのゲームで一番感動した部分はそこであり、何気ないドットの動作のはずなのだが、
その動作一つでぐっと惹きつけられ、強く心に残り感動させられてしまった。


ゲーム部分がシンプルなのは一作目でお金や時間が足りなかったのだろうと思うが、
そのシンプルさをねじ伏せるかの如く、演出とストーリーでプレイヤーを楽しませてくれる。
終盤の畳み掛けは本当によく出来ており、テーマも良い。
ローカライズの出来も非常によく没入出来る。


10時間にも満たないゲームなので、ここで内容を語るのは無粋であるし、
レベルの高く、遊び終わったあと満足出来る作品を求めるならこれを遊ぶべきだろう。

番外編:Persona 3 Reload


凄く良かったというものではないが、特に記憶に残った1作としてペルソナ3が上げられる。

そもそもペルソナシリーズどころかアトラスのゲーム自体も遊んだことがなく、
ペルソナ自体はP4Gを2024年の1月から遊び始め、右も左もわからない状態でプレイ。
名作らしく確かに面白かった、面白かったのだが面白かっただけ。
娯楽としては優秀だったが、あとに残る物が一切なかった。
との趣旨をフレンドに話すと「多分3の方が好きだと思う」との一言から3Rを遊ぶ事に。


ゲームプレイ自体は良くも悪くもPS2のゲームのリメイク感が強くでており、
物語のメインとなるダンジョン、タルタロスはタイル生成式のランダムダンジョンで、
物語が進むことなく只管戦闘を重ねるだけであまり楽しくなかった。
戦闘そのものも妙なウェイトも多く、かなりテンポも悪く感じられた。
戦闘の悪いテンポ感とタルタロスの無味無臭のダンジョンが組み合わさり、
ゲームのベースがかなり悪い印象を持ってしまった。
反面日常パートがご褒美かのような癒やしとなっており、それとメインストーリーを原動力にゲームを進めた。


名作らしからぬ地に足がついたストーリーと、一つの命題を貫いた物語も好印象。
終わり方はなんとなく知ってはいたが、きちんと細部まで知った上で見ると成程と言った良さがある。

ペルソナシリーズはこういうダークさがあるのだなと理解し、ファンとは言わなくても関連作は遊んでみようかなと思わせる物があった。


そして、来年の2025年には、ペルソナ5ロイヤル、ペルソナ5スクランブル。
そしてペルソナ1、ペルソナ2罪と罰とペルソナシリーズを完遂するとはこの時にはつゆ知らず。


ベストインディー部門:Vertigo 2

VR専用で作られたHalf-Lifeオマージュシューター。
2024年最新VRゲームに相応しいグラフィックとゲームプレイのクオリティ。
なのだが、
このゲームはなんと22歳の開発者が一人で作ったという。
若者が一人で作ったからという忖度はなく、単純にクオリティが高いのが優秀。


銃周りの操作もマニュアルリロードかつ、一風変わったものも多く触っていて楽しい。
Half-Lifeオマージュなだけあって、敵のデザインも面白いものが多い。
本作はマルチバースをテーマにしているだけあって、ステージ毎に空気感がガラッと変わるのも遊んでいて飽きさせない。


森の原住生物相手にドンパチしていたと思ったら、いきなりロシアにワープしてロボットと打ち合いさせられるゲームなんて中々ないだろう。


ボリュームも11時間程あり、その間飽きさせないような工夫が多数感じさせられる。
またValveゲーや他社VRゲームのパロディが多く、
マルチバースという設定もあり笑いもあるが説得力も感じさせる力技が良い。


ストーリーはやはり少しふわっとしているが、雑魚戦も楽しくボス戦も楽しい物が多い。
最終決戦のバトルと演出はVRゲームでやれるのはかなりテンションが上がってしまった。


VRは死んだと言われる事があるが、こんな良質なVRゲームが出るのは完全に死んだわけではないと思い嬉しくなってしまう。


ベストナラティブ部門:Earth Force Defence 6


皆さんご存知、地球防衛軍のナンバリング6作目。
シリーズ伝統の内容を書くと長くなってしまうので、今回は割愛させて貰う。

ゲームプレイ自体は前作EDF5のブラッシュアップ作品であり、大幅に変わったものはない。
各兵科にテコ入れと調整が入り、いい感じに楽しく遊べる。
良く言えば今作も楽しく、悪く言えば代わり映えしない。
だが、本作の命題は間違いなくストーリーだろう。


今作EDF6は前作の5のEDから引き続いた内容になる。
前作での戦いで辛くも勝利した人類だが、地球と地球人は甚大な被害を被り、最早絶滅直前にも追い込まれていた。
そんな先も見えない絶望的な戦いを繰り返していくストーム1達だが、
ある日、巨大なリングが降臨し、敵の兵器であろうリングを撃墜する。
すると辺り一面まばゆい光に包まれ、目を覚ますとそこには…

というあらすじからEDF6は始まるのだが、このストーリーがとにかく秀逸。
ゲームプレイを通して得られる感情とゲームプレイの反復を見事にストーリーに落とし込んでいる。
ある種、バイオハザード8とグノーシアとのミックスのメタネタのように思える。
しかしそのミックスの仕方と後半への盛り上げ、人類とプライマーという外敵との戦争のテーマの向かう先が本当に秀逸。

優れた物語というのはビデオゲームはあまり向いていないと思っている。
何故ならゲームである以上、ゲームプレイが確実に物語の進捗をせき止める。
物語を素直に享受するのであれば、小説や映像媒体に軍配が上がる。
物語をせき止められないのだから。


だが、ビデオゲームでの優れた物語というのはビデオゲームならではの物語にある。
その領域にたどり着いたものは神がかった出来になる、Undertaleだってその領域のもの。
EDF6はある種そこに近しい、肩を並べる存在にまで近づいたと思っている。
カットシーンを一切使わずにゲームプレイだけで構成されている特異なゲームなのも異質だ。
ゲームプレイ利用した感情をストーリーに織り込んだゲームは本当に優秀であり、
それをEDF5から連なる物語と絡めて昇華させたストーリーは本当に凄まじい。


ゲームもプレイヤーも絶望を繰り返し、足掻き足掻き足掻き抜いた先にたどり着く後半。
胸が熱くなっていくゲームプレイとストーリー展開。
プレイヤーはストーム1と一心同体となって、鬼神の如くプライマーを殲滅していくだろう。
あのシンクロ感はEDF5の時には確実なかっただろう。
それが描けているのはストーリー展開と見せ方が秀逸だったからに違いない。

地球防衛軍6は間違いなく傑作SFビデオゲームであり、”ゲーム”としての物語が秀逸だろう。


VR部門:Propagation: Paradise Hotel


Propagation: Paradise HotelはVR専用で作られたサバイバルホラーFPS。
VRゲーム2本目である。

ストーリーは双子の片割れを探す主人公がゾンビや化け物が徘徊するホテルを舞台に戦うというシンプルな物。


ストーリー自体は特段凝ったものではないのだが、往年のサバイバルホラーシューターを完全にVRに落とし込んだゲームプレイが非常に秀逸。
銃周りの操作は自分でマガジンを排出し、マガジンを装填してコッキングが必要。
ショットガンはポンプアクションとシェルの装填を自分で行うマニュアルリロードと、
昨今のVRシューターでは必要な物がきちんと存在する。


マップを見ながらホテルの中を探索し、
暗闇を照らすライトのバッテリーや、回復薬に弾薬などのリソースを回収しつつ、
ときには謎解きを行いながら物語を進めていく。
マップ自体も探索済みの箇所と未探索の箇所がわかるように色が塗られていくので、無駄な時間と労力をかけずにストレスフリーで遊ぶことが出来快適。
ドアも施錠済みのものと施錠されているものもマップから一目で把握出来るので迷わない。


ゲーム自体神がかった出来ではないのだが、あの往年のサバイバルホラーシューターをVRで遊ぶ事が出来るという事に感動できる。

グラフィックも中々に良く、銃周りも求めている物がしっかりと用意されており、
そして細かいユーザビリティに配慮しつつ遊びやすい。
プレイ時間は3.5時間程ともう少しやりたいなと思うボリューム感が丁度良かったのも良いポイントだろう。


物語は未だ続いており、続編の脚本も既に出来上がっているらしいので、いつかこのゲームの続編が遊べる時が来るのが楽しみである。


ベストヒストリー部門:龍が如く8


日本も海外も大好きYakuzaシリーズのナンバリング最新作。
新旧主人公が集うW主人公になりゲームプレイは遊びも増え、
戦闘システムも前作の龍が如く7からブラッシュアップされて楽しくなっている。

ぶっちゃけてしまうと前作龍が如く7に比べると本作のストーリーはそこまで優れていない。
いつもの龍が如くの範疇に収まっている。


なのだが、本作の凄い所は旧主人公である桐生一馬の辿る人生に尽きる。
本作で桐生一馬はガンを患い、それを回避する事は出来ずに逃避する選択を選ぶ。
その中で桐生は自身の歩んだ道を振り返り、やり残しを消化するためにエンディングノートを書く事となる。
そのエンディングノートがゲームのコンテンツの一角を担っており、
今まで訪れた場所や人と会う事で、自分の過去を振り返り歩みを止める時間が与えられる。

龍が如くというゲームシリーズ自体20年程の歴史があり、
桐生一馬という人の人生で言うなら0の20歳から始まり、8で55歳となる。
10年間ムショに入っていたのを加味しても実に25年ほどの歴史が彼には存在する。
人生において25年も生きていれば色々な事があるだろう。


人との出会いと別れ、旅先での思い出。
あの場所でしょうもない事があった、くだらない事があった。
楽しかった出来事もあれば悲しかった出来事も、大きな出来事もあればどうでもいいしょうもない出来事もある。


一般的には龍が如く3は微妙という風潮があり、自分もそう思っている。
が、このエンディングノートというコンテンツで桐生が過去を振り返る事で、
そういう良いことも悪いこともどうでもいい事も、全て桐生一馬という人間の形成に繋がっており、
それら全てがある事で今があると肯定した。
ビデオゲームのキャラクターで人生を歴史とし、そこに厚みを持たせられるのは未だ見たことがない。


ゲーム開発の高騰化や長期化も含めて長期的なシリーズは避けられる現在だし、
更に言えば現実を舞台にして現実と同じペースで年月を重ねるゲームは他にない。
恐らく今後生まれてくる事は難しいだろう。
そういう意味で龍が如く8はビデオゲームのキャラクターの人生を歴史にし、すべての面で人生を肯定した点が秀逸だと思う。


龍が如く8はそれ単体でも楽しめるが、やはり本領発揮するのは桐生一馬の人生の厚みと歴史を知っている場合だろう。
こんな偉業を行った作品と男の歴史を追う為だけにこのシリーズを追う価値はあるだろうと思う。
龍が如く8こそ、命の詩。だろう。


Game of the Year:Void Stranger

日本のSTGとガイナックス・トリガーをオマージュしまくったフィンランドSTG、ZeroRangerの開発元の新作。
Baba is YouやThe Wittnessに肩を並べる三銃士的な存在。
このゲームと並んでいるだけで異質さがわかるだろう。


執念と献身で構成された本作は異常な作り込みで、それを攻略するにはプレイヤーにも執念と献身を要求してくる超骨太パズルゲーム。

まず公式のSSやPVを見るだけではコアゲームメカニクスすら紹介されていない。
マリオで例えるならジャンプもせずにただ右に進んでいる映像が少し流れるだけのようなもの。
その時点でこのゲームが異彩を放っている事がわかるだろう。
個人的にはGOTYに入れたかったが、あまりにも人を選びすぎるのでギリギリ除外。


基本的には所謂倉庫番のゲームで、目の前の足場を取得し、別の場所に並べ替えて階段を目指すというサイクルが続く。

階層を進んでいくと休憩ポイントが入り、そこで主人公が何故この場所にやってきたかが断片的に描かれるカットシーンが挿入される。
そのカットシーンが終わると新たな階層にたどり着き、新しいメカニックやルールが設定される。
終盤はカットシーンの内容が面白く、早く続きが見たいが為にカットシーンのためだけにパズルを解いて階段を降りていった瞬間もあった。

そうしてカットシーンをご褒美としつつ、階段を降りていく事で”基本的には”エンディングに辿り着くのだが、
最初のエンディングを見てからが本番で、プレイヤーはエンディングを見るまでの間に疑問になった箇所がいくつも浮き出るだろう。


そのあたりがBaba is YouやThe Wittnessと近しいもので、疑問や謎を解明していく事で新たな驚きがあるのだが、
本作の魅力的な点は、その疑問になった箇所の謎に触れる事で今まで遊んでいたパズルパートが別ゲーまでに変化していく事になる。
そこと明確な物語が存在する事がBaba is YouとThe Wittnessとの違いではあるし、その一歩先を進んでいる点。


そしてその別ゲー化から生じる、抑圧からの開放が本当に気持ちがよく、悪いことをしている感覚になるが、
本作はどんな手段を使ってでも階段にたどり着くのが目的、何も問題はない。
そして最終的には本当の意味でゲームを破壊し、このVoidと呼ばれるダンジョンを縦横無尽に破壊していく事となる。
全てはハッピーエンドを願うプレイヤーの執念と献身。


ありとあらゆるものに発見と気付きがあり、それに対するゲームとしての報酬も存在する秀逸なパズルゲーム。
一般人が気軽に手を出せるパズルゲームではないが、間違いなく大傑作であり大怪作。
ピンと来た方には執念と献身を持って挑んでほしい。
その際はネットで答えを見るのではなく、適切なヒントやガイドをくれる友人がいると尚の事楽しいだろう。

昨今の流行を盗むだけの商業主義のインディーと違い、
商業ゲームではなし得ない構造かつ、作り手も遊び手も献身を要する狂気的とも言える作り。
ストレスフリーで進められる現代的なゲームではなく、プレイヤーとゲームとの対話を必要とするのは本当に尖っている。
様々な要因から最終クレジット到達者の割合が低い上に人を本当に選ぶが、挑む価値が確実にある一作。

ハッピーエンドを願いながら進み続ける主人公とプレイヤー。
無限とも言える煉獄に囚われた主人公とプレイヤーが、Voidの果てに辿り着く執念と献身の物語の結末はどこなのだろうか。


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